龍泉寺

丸子町生田:桑澤 俊猛 住職(宗吽寺住職兼務)
〔連載第88回〕

 丸子町生田の「龍泉寺」は尾野山城の麓にある。創建年代は不詳だが、かつては観音堂の西側に「平等寺」として存在した。
 正保二年(1645)に引越して「光明寺」となり、万治元年(1658)に「龍泉寺」と改名した。そして明治五年に火災で、ほぼ全焼。翌六年に庫裡を再建したが本堂は仮殿を設けたのみだった。
 昭和四十二年、檀信徒が熱望していた本堂が九十七年ぶりに建設され今日に至っている。
 同寺は、かつて「観音堂」「愛宕神社」「弘法堂」などを所持していたが、管理不能となり尾野山区がこれらを毎年お祭りして大切に保存している。
【木造千手観音立像】
 観音堂に納められている「千手観音立像」は室町時代末頃の作といわれている。上小地方唯一の大作として貴重な像。昭和47年に丸子町有形文化財に指定された。
 高さ230cmあり、台座と輪光背を含めると318cmにもなる。上小地方で最大の像。
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